中央大学法曹会

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会長挨拶 2019年07月30日

 
令和の時代を迎えた中央大学法曹会の拡充と発展をめざして
 
 
会 長  神   洋 明
 
 
1 はじめに
私は、令和元年5月31日の中央大学法曹会総会において令和元年度・2年度の会長に選任されました。同総会においては、これまで幹事長として称していた同法曹会の代表を会長と改称することも決議されました。
昭和26年(1951年)発足以来、輝かしい伝統と実績を誇るわが法曹会の会長(旧称:幹事長)職は、私にとりましても身に余る重責ではありますが、副会長(旧名称:副幹事長)、事務局長、事務次長ら執行部の先生方と力を合わせ、会員の皆様からのご支援を得つつ、任期を全うしたいと考えております。
 中央大学が多摩に移転してから40年が経過し、2015年10月の中長期事業計画で法学部の都心回帰を定めて以来、多摩キャンパス及び都心キャンパス整備計画の策定をしてきましたが、紆余曲折の末、昨年12月に、茗荷谷駅前の都有地を定期借地権として利用する法学部用地の確保ができました。現在、着々と移転計画が進行し、令和5年度(2023年度)には法学部の移転が始まろうとしています。
 また、令和元年6月19日には、法学部から最短で5年目で司法試験の受験資格を与える「法曹コース」(学部3年+法科大学院2年)の創設や法科大学院在学中の司法試験の受験も認める「法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律」も成立しました。
 法曹会としては、このような時代に即応する形で、これまで以上に法曹会を活性化させ拡充・発展させるとともに、母校中央大学にもさらに貢献できる体制の構築を目指していきます。
 
2 中央大学法曹会の活動
(1)わが法曹会の目的は、会則第2条で「会員相互の親睦をはかり、学校法人中央大学の興隆と司法の発展、法曹の向上、法学の進歩に寄与することを目的とする」とされており、第3条では「本会は、前条の目的を達成するために、次の事業を行う。一 中央大学の健全な運営に協力し、意見を具申すること 二 会報及び会員名簿の発行 三 研究会、講演会及び座談会の開催 四 その他必要と認める事業」とされています。
 法曹会は、ここに掲げた高い目的を実現するためにこれまでに以下のような様々な活動をしてきました。
(2)大学、学員会との関係では、大学の理事・監事等の役員、評議員、商議員、学員会の会長、副会長、幹事等に選出にあたり法曹会員からの推薦、法学部・法科大学院への実務家教員の輩出、エクスターンシップ制度・リーガル・クリニック制度への協力、優秀な学生に対する奨学金の給付、中央大学出身の司法修習生に対する就職支援活動、各種募金活動への協力等があります。
 また、大学問題委員会においては、大学運営の実情を調査し、その結果をとりまとめて法曹会として忌憚のない意見を大学に具申してきました。
(3)法曹会員同士の親睦を深め、相互交流を活発化するために、かつて首都圏のみであった活動を全国に広げるべく、平成11年12月創立の札幌支部を皮切りに法曹会の地域支部作りが各地で展開されてきました。2018年2月8日には休眠状態にあった広島支部が再興に向けての準備会が開催され、同月14日には栃木支部の設立準備会が開催されています。会員同士の活動により、支部内部での親睦はもとより、本部と支部、支部相互間の交流も行われています。
(4)その他の活動としては、わが法曹会員の中から現役で活躍中の判事、検事、得意な専門分野を持つ弁護士らを招いての講演会、パネルディスカッション、実務修習中の司法修習生を集めての懇談会、現役学生を対象とする法廷見学、ホームカミングデーにおける無料法律相談会等を行っています。
(5)また、南甲倶楽部など学員会の有力支部との意見交換会を開いてきたほか、法曹会の交流委員会を中心に隣接士業と交流することでそれぞれの業務を相互に理解し、協力協調関係を築いていく取り組みを進めてきました。隣接士業としては、これまで司法書士、税理士、社会保険労務士、行政書士、技術士、不動産鑑定士、弁理士との交流を重ねてきました。
 
3 これからの重点目標
このような中央大学法曹会の諸活動を受けて、令和元年・2年度の執行部としては、平成29年度・30年度の大谷幹事長が掲げていた以下の3つの重点目標をさらに発展させる活動をしたいと考えています。
  • 組織の強化及び財務基盤の整備並びに大学支援
 わが法曹会は5000人を超える会員を擁していますが、執行部及び執行部経験者個々人の力を結集して何とか法曹会の運営がなされているのが現状で、まだまだ組織力が盤石とは言い難く、会費納入者に至っては会員の2割程度に過ぎません。法曹会の活動範囲が広がるにつれ、より多くの有能な会員に法曹会の実働部隊の一員として加わっていただく必要があります。会員の法曹会への帰属意識を高め、法曹会の活動にも積極的に関与してもらう方策が急務となっています。そうすれば法曹会自体の財務基盤も改善されます。
 また、大学、学員会の各分野に法曹会から自信をもって推挙できる会員を確保しておかなければなりません。そのためにも法曹会の組織力の強化と活性化は不可欠であります。
 大学は、平成28年度(2016年度)から取り組むべき課題として教育組織の改編・創設、キャンパス整備等を柱とする10年間の中長期計画を発表し、その実現に向けて活動中ですが、とりわけ、冒頭の述べました法学部の都心回帰は現実のものになりつつあり、令和5年度(2023年度)には法学部の移転が始まります。法曹会としても、新キャンパス建設資金の寄付金による協力や新しい法曹養成制度(法学部3年+法科大学院大学2年の新制度)に対応した新カリキュラム策定への協力と実務家教員の推薦などで大学をバックアップしていく必要があります。
  • 広報活動の更なる徹底
 ところで、法曹会の活動が広範囲にわたっており、大学や学員会の運営に大きな影響力を発揮していることは一般の会員には余り知られていなかったのではないかと思います。その法曹会をさらに活性化し発展させるには、法曹会の諸活動を一般の会員に知ってもらい、その法曹会に関心を持っていただく必要がありますが、その手段は、長いこと、1年おきに交互に発行される会報「中大法曹」と「中大法曹ニュース」だけでありました。数年前にホームページが開設され、最近ではスマートフォンでその内容を閲覧できるようになり、会員の皆様により詳しい情報提供できるようになりました。さらに、必要な情報をすぐ入手できるような仕組み、例えば会員へのFAXサービスやメールサービスのようなものも検討してみたいと考えているところです。
 なお、現在のホームページはパソコン画面向けで、スマートフォンやタブレット端末では見にくい難点があるので、早急に改善することとします。
 
  • グローバル化社会に対応する法曹の育成
 21世紀に入り、国境を越えた人の往来、物資の流れは急速に増加し、今や特に、経済、社会の面では国境のないボーダレスの時代となりつつあり、それに伴い、日本社会も国際化(グローバル化)が進みつつあります。
 これは企業の海外進出や貿易取引の増加ばかりを指すことなく、日本国内に在住して働く外国人の増加を意味し、そのことは同時に様々な外国人のものの考え方、文化、習慣がもたらされ、我々日本社会の構造や文化、習慣を変化させことになるものです。
 このようにグローバル化する日本の社会においては、語学力と国際感覚を身につけた法曹の需要がいわゆる渉外の分野にとどまらず、国内の様々な事件を扱う分野にも広がりつつあると言えます。
 中央大学においても、前記中長期事業計画に基づきグローバル化に向けての取り組みが行われ、2019年4月には、国際感覚の醸成と経営学を中心とした専門知識の体系的習得を目的とした「国際経営学部」(多摩キャンパス)とICT情報基盤、情報の法学、グローバル教養の専門知識を学び、これらの視点を統合することで解決策を導き出す「国際情報学部」(市ヶ谷田町キャンパス)の2学部が新設されました。
 わが法曹会には国際的に活躍されている会員が多くおられるので、その先生方には以前にも増して大学のカリキュラムに参加していただくことに加え、法曹会独自の講演会、セミナーなどを企画し、グローバル化社会に対応できるこれからの法曹の育成を支援していきたいと考えております。
 
4 おわりに
 令和の時代の中央大学法曹会をめざして、いろいろ述べましたが、これらの実現には、1人でも多くの法曹会員の皆様にも積極的に法曹会の運営に関わっていただき、ご協力とご支援を賜ることが不可欠です。私ども執行部は会員の皆様のために何時でも門戸を開いていますので、各種会合に積極的にご参加をいただき、気軽に声をかけていただくなどの叱咤激励のほどをよろしくお願い申し上げます。